齊木のトリセツ
齊木智輝税理士事務所のお仕事について
齊木税理士事務所のお仕事について教えてください
税理士は税務のプロフェッショナルです。企業や個人事業主、不動産オーナーといったお客様に対して、会計処理を代行したり、節税のアドバイスをしたり、さまざまな申告書を作成しています。一般的には、「代行業」としてのイメージが強いかもしれませんね。そこにおいて、齊木税理士事務所は「未来創造支援業」を掲げています。
私のお客様はあくまでも経理担当者ではなく経営者だと考えています。経営者の仕事は、端的に言えば、「いかに会社を潰さずに目指すべき世界を実現するか」だと思います。会社をどの方向に向かっていくのか方向付けするのは経営者ですし、私がお客様の売上を上げるための施策を打ち出すようなコンサルティングはできません。会社の専門家はあくまでも経営者です。そこで、お金に関わる専門家として、「経営者が目指す世界を実現するために、どのような課題が発生するかを事前に数字で伝えることはできる」と考えています。
私の仕事は、経営者のやりたいことを基にして、お金の流れを計算し、会社の未来予想図を知ってもらうこと。将来の「課題」が分かれば、経営者は「次」に何をすればいいか見えてきます。その「次」に進むために、人を採用すべきなのか、融資を受けるべきなのか。こういった相談に乗っていく、財務パートナーとして認められる仕事を大切にしています。
お仕事において大切にされていることは何ですか?
「関わる人を幸せにすること」です。なぜ、このような考えに至ったかというと、私自身の反省すべき失敗経験に端を発します。
私は以前、別の税理士事務所に勤務していたのですが、先代の所長の引退に伴い、お客様を引き継いで独立することになりました。一国一城の主です。売上を上げていくために精力的に仕事をしました。私はお客様のために仕事をしてきたつもりだったんです。でも、本当の意味でお客様に寄り添えていなかったのでしょう。お客様からは、「売りが強くなった」と思われていたようで、先代所長のところに「齊木はどうなっているんだ?」と問い合わせがあったようで。そしてある日、先代から「お前には大切なお客様を任せられないから返してもらう」と言われました。
ショックでした。自分としてはお客様のために一生懸命仕事をしていたつもりだったので。一時は先代にお客様をお返しして、売上ゼロになることも考えましたが、信頼する経営者からのアドバイスを受けて先代と話し合ったところ、お客様にどちらと継続して仕事をしていくかを選んでいただくことになりました。結果、ほとんどのお客様が「齊木さんと引き続きお付き合いしたい」とおっしゃっていただけて。本当に、涙が出るほどうれしかったです。
でもその一方で、「お世話になった先代の信頼を裏切ってしまった」という思いもあって。自分の何がいけなかったのだろう。何を見逃してしまったのだろう。考えました。本気で悩みました。具体的な解決方法や改善策が出たわけではありません。しかし確実に分かったのは、「こんな結果は嫌だ」という自分の本心です。関わってきた人たちへの感謝の気持ちを忘れることなく、その恩返しとして関わってきた人すべてを幸せにしたい。以来、そのような思いを抱いて、仕事やお客様と向き合っています。
そして、ビジョンを持った経営へ
そのような思いから理念が生まれていくわけですね?
感謝の気持ちを意識したとき、いろんな人たちへの感謝はもちろんなのですが、「税理士という仕事」にも感謝の念を抱きました。私はそんなに勉強ができるほうの子どもじゃなかったんですよ。親にいわれてこの分野に足を踏み入れて。大学で恩師と呼べる人に出会って自信をつけて。難しい問題を解き明かすのが大好きな自分が、天職といえるこの税理士という仕事と出会えたことが奇跡だなぁって思ったんです。
税理士になってからも、外資系の税理士法人の先輩、そのあとに入った税理士事務所の先代所長、私を信頼してくださったたくさんのお客様…。多くの方たちに支えられて、税理士 齊木智輝は今ここにいるんだなと思ったとき、どこに恩返しするか、何を己の使命としていくべきかを考えたら、【大好きな税理士という仕事で日本に貢献すること】というビジョンに至りました。大きなことを言っていますよ。でも、心にリンクしているというか、このためだったらどこまでも頑張れると思いました。
作られたという理念についてお話しいただけますか
齊木税理士事務所の【理念】は、【地球上でもっともお客様を大切にする税理士事務所】です。これを実現させるためには、【役割(ミッション)】も明確にしなければなりません。そこで設定したのが、【最幸な未来創造支援。お客様、従業員、税理士業界と共に日本の未来を創る】。これによって描きたい私たちの【目指す将来像】は、【地球上1、最幸税理士事務所になる。地球上1、最幸税理士事務所を目指し続ける】。最高というものに終わりはありません。ゆえに、目指し続けたいと考えます。
そして、【コミュニケーションワード】は【ピンチはチャンス。まさか、ここまで!?】。ピンチと思うかどうかは自分次第。目の前で起きてしまったことがマイナス的なことだとしてもそれをチャンスに変えていきたい。失敗からしか気づけないこともある。大切なのは、その後に何をするかです。そして、仕事をするなら相手を感動させなくちゃいけないと私は思っています。フツウを超えて相手に「まさか、ここまで!?」と言わせる・思わせるところまでやる。これは私自身の決意表明です。
ビジョンの実現に向けて
ビジョンの実現に向けての具体的な戦略を教えてください
日本にどのように貢献していくかを考えたとき、以下の3点に着目しました。 1つめは【売上3,000万円以下の1人経営者支援】。意外と売上3,000万円以下のお客様は積極的に税理士のサポートを受けている方が少ない印象があります。それは、税理士の先生方も報酬が多くもらえる訳ではないので積極的にサポートをしないことも関係していると思います。税理士のサポートを受けていれば、無駄な納税や時間を費やさなくてよいケースを見てきました。そこで、積極的に売上3,000万円以下のお客様の支援をすることで、一つでも多くの会社の成長のお手伝いをしていきます。
2つめは【税理士業の事業承継問題の解決】。現在、日本の税理士は50代以上の方が全体の70%を占めています。そして、その多くの方には後継者がいないんです。税理士さんが働けなくなった時、何が起こるのか。お客さんが路頭に迷ってしまいます。そうならないように、事業承継で悩んでいる事務所に対し、大切なお客様をこちらが引き継ぐことを積極的に提案していこうと考えています。
3つめは【会計業界の人手不足改善】。労働人口の減少に伴い、どこの業界でも人手不足が叫ばれています。ここに着手したいです。具体的な方法は、障がい者雇用。障がい者雇用は日本ではまだ普及しているとはいいがたい状況です。私は税理士事務所で雇用機会を作りたいと考えています。自分たちが死んだあと、子どもはちゃんと生きていけるのかどうか。そんな不安を抱えているご両親を安心させてあげたい。そして人手不足も解消できれば、誰もが幸せになるじゃないですか。
ビジョンを持ったことで見えてきたこと
ビジョンが明確になったことで何が変わりましたか
判断が早くなりましたね。自分が何のために仕事をしているかを明文化したことにより、今やるべきことが分かりやすくなりました。また、最終的なゴールが見えているので、目先の小さなことで悩むことが少なくなったかもしれませんね。
何よりも、自分がやりたいことをほかの人に伝えられるようになった点は、大きな前進だと思っています。長く働いてくれるスタッフの採用に役立つと感じています。
ウチの事務所は長年スタッフの定着率の低さが課題でした。なぜ、辞めてしまうのか。これについては本当に悩んで、いろいろ勉強もしました。その結果、人は成長を求めることが分かったんです。成長できない環境では人を引き止めることはできません。
ゴルフを例に挙げると、18ホールをまわったスコアが、前回よりも良くなっていたら嬉しいじゃないですか。もっと良くなろうと練習しますよね。そして次はスコアがもっと良くなれば、どんどん熱中していく…。仕事にも会社にもこういう仕組みが必要なんですよね。とはいえ、ひと言で成長と言っても、人それぞれ求めている成長は違うわけです。でも、ウチが何を目指している事務所なのかが明文化されて分かりやすくなっていたら、ウチに合った人と出会う確率が絶対上がるじゃないですか。
このように、ビジョンを明文化したことで、人に話しやすい、仕事に活かしやすくなりました。迷ったら、「自分の何のために仕事をしているんだっけ?」と立ち戻る場所ができたといいますか。明文化する前は、何が正しくて何が間違っているか判断できないことも多かったので、あの頃に比べると、ハッキリ道が見えている感じがしますね。
最後に、これからの展望について教えてください
お客様に寄り添っていく仕事を、1つひとつ丁寧に行なっていく――これに尽きます。大きな夢を掲げていますが、まだまだ力は弱い税理士事務所です。夢の実現には近道なんてないんですよ。
話が変わりますが、IWCのポルトギーゼという時計をご存知ですか。知る人ぞ知る時計ブランドなのですが、これが見た目は地味なんです。でもね、ロレックスよりも歴史がある。派手さはないけど、時計としてあるべき役割をきちんと果たしている絶対的な信頼があるんです。そんな質実剛健な税理士事務所でありたい、私はそう思っています。
そして、自分が行き着くべきゴールはきちんと分かっていますからね。1歩1歩、自信をもって歩んでいけるんじゃないかと感じています。
代表者プロフィール
2005年3月
学習院大学経済学部経営学科卒業
2005年8月
大原情報ビジネス専門学校に入社し、税理士講座の講師業務に従事
→4年間で400名以上の生徒にサービス提供し、分かり易さに定評あり。3年目にして全国講師ランキングで全国3位を受賞
2009年9月
EY税理士法人に入社し、大企業向けの税務業務に従事
→3年間で延べ150社以上の申告書を作成し、作業量・質・コミュニケ-ションすべてNo.1評価を獲得
2012年10月
池袋の税理士事務所に入所し、中小企業向け税務業務に従事
→会社税務だけでなく個人税務にも精通し、数百万円の節税プランを提案した事例もあり、資金繰りも含めた節税提案は他の税理士には真似できないと評判
2016年1月
齊木税理士事務所を開業し、中小企業向けの税務業務や財務業務に従事 →「1年後の預金残高」を見える化することで、赤字の会社を黒字に転換した事例も、資金繰りアドバイザーとして定評あり